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ブログ名
脳卒中後遺症の治療ー痙性コントロール手術と機能改善
ブログ紹介
開設にあたって

日本には200万人の脳卒中後遺症の患者さんがおり、一定のリハビリが終ると重い装具や車椅子に乗せられて、不自由な生活を強いられています。
脳卒中への取り組みには大きく4つの取り組みが考えられます。

@ 予防医学
A 急性期治療医学
B 回復期リハビリ医学
そして
C 後遺症治療による本格的機能改善、生活の回復と職場復帰でしょうか

この4つが完備して、患者さんが満足して社会復帰が語られ得ます。
しかしながら予防、急性期治療、回復期リハには国家的事業として莫大な予算が投下され、あたかも脳卒中問題は解決したかのように語られますが、Cの本当の患者さんの機能改善と働き盛りの人の職場復帰については全く語られず、患者さんにはあきらめて(受容を強いて)、いい方の手足を使えばいいと、重い装具や車椅子の生活を強いているのが現状です。
本当に働き盛りの方がかかる脳卒中とその後遺症のつらい問題を把握し、その治療の開始と充実は国家100年の計らいとして、緊急のテーマであると思います。
私は南多摩整形外科病院で障害者の機能改善医療に取り組む一整形外科医ですが、その中で、脳卒中後遺症になかなか本当の意味の職場復帰も可能な機能改善を得る方法がないのを、また本当の意味の機能改善について語られる事のないのを、寂しく思っておりました。一方、同じ麻痺の病気である脳性麻痺の整形外科治療では、長い試行錯誤の中でOSSCS(整形外科的選択的痙性コントロール手術)を生み出し、これを障害者の方々に応用し、機能改善の実を得てきています。その中でOSSCSが脳卒中後遺症の痙性減弱にきわめて有効である事も知りました。今や脳卒中後遺症は治らない疾患ではなく、治って元の職場に戻っていける疾患に変ってきているのです。
一方、この陳旧性の後遺症が劇的によくなる事はまだわかっておらず、多くの患者さんは苦しみの中にあえいでおられるのも事実です。
このような中、私は2008年2月10日に放映されたNHKスペシャル「闘うリハビリ」を拝見して、やはりCの脳卒中後遺症のテーマが本当に語られていない。回復期リハビリを中心にほとんど脳卒中の問題は解決されつつあるというとらえ方が先行し、本当に治し、職場に復帰させる、という視野をまだ持ち得ない日本の、世界の脳卒中後遺症治療の現状に、一抹の寂しさと不安を覚えました。
そこで本ホームページを通じ、本当に脳卒中後遺症が治り、職場復帰の出来る治療がある事を紹介し、200万人の後遺症患者の機能向上をさせるには、国家としての正しいビジョンをもった取り組みが必要とされる点について語ってみたい、と考えました。
忌憚のない意見をのべてみたい、と考えますので御一読をお願いします。

平成20年2月15日
南多摩整形外科病院
松尾 隆
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NHKスペシャル“闘うリハビリ”を拝見して

2008/02/11 00:00
本日、NHKスペシャル「闘うリハビリ」を見せていただきました。大変わかりやすい編成で、脳卒中麻痺の問題点を明らかにし、その発症直後の脳外科的治療の重要性・回復期におけるリハビリの重要性と効果を見せていただき、その進歩に驚かされました。また日本全体で脳卒中後遺症に苦しむ患者さんが、200万人もいるという現実も驚きでした。

一方で発症後、充分回復期リハを行ったあとに残る脳卒中後遺症には、これから職場復帰にもつながる機能改善が求められるところですが、依然としてあまり効果的な方法は見当たらず、CI療法という患者さんにかなりの負担と努力を求める治療にかすかな望みと期待をつなぐ、という内容の寂しい状態である事も示されたように思います。

私達のアイドルだった長嶋茂雄さんの右手と右足を見てみましょう。確かに健康な左下肢にカバーしてもらって、両下肢で体を垂直位に保つという粗大な運動の所は回復してきています。また一流選手の運動能力のすばらしさでしょうか、歩く所まで改善されています。しかし右半身に固い痙性が残り、もっと巧緻的な運動は回復は得られそうにはありません。肩・肘をあげたり、曲げたりする能力は高まりそうになく、手首や手指の動きも、これ以上よくなりそうもありません。右足も痙性が高く、これ以上よくなって正常に近く走る機能が得られそうにありません。本当はこれからもう一段よくなって日常生活が出来るようになり、正常の人のつき合いの中に独自の力ではいりたい、というのが長嶋さんの本当の思いであり、周囲の方々の願いの筈です。もう一段なおしてみたいというのが、本当の医学のような気もします。

次の村田 将君も同じです。確かに脳外科手術はすばらしく、立って歩けるようになりました。これがなかったら立つ事も出来なかったでしょう。また回復期リハの効果も、すばらしくいい治療法が準備されている事をうれしく思います。

一方で村田君の問題はこれから残る下垂足など変形や拘縮による歩行能力の低下であり、この問題こそが多くの脳卒中後遺症の患者さんが直面し、職場復帰など本当の人としての生き方が妨げられている問題なのかもしれません。本当はこれから痙性を少なくし、もう少し治し、正常人に近くして、活動したいというのが実感でしょう。

この所に本当の機能改善医療があるべき所でしょうが、下垂足など歩行を障害する後遺症は、これまでの経験では、一生装具などを使う事を余儀なくされ、不便な社会にはいりにくい、脳卒中後遺症患者さんの生き方を強いる事になるのです。回復期を過ぎたあとの麻痺後遺症の問題は、なお残り続けている事でしょう。IC療法という治療に期待がかけられる話になっていましたが、本質的にはCI療法では痙性がとれる事はないのです。

もう一人の方(宮井先生主治医)も同じですね。早期回復リハが効果を示し、歩けるようになって大筋では社会に復帰出来る条件はととのってきています。しかし、もし一年をすぎて痙性や麻痺や変形・拘縮が残るとすれば、そのあとそれらの麻痺はどんな苦しい訓練をうけても治っていく事はなく、不自由な生活を強いられる事になるのでしょうね。この方の残った麻痺をどうするかが課題なのでしょうね。

番組の後半、効果がある時期をすぎて、もう治療の必要がない、といわれた患者さんの話が出て、後遺症として残った患者さんの問題が話の中心になってきましたが、この点が脳卒中後遺症の方々の本当の深刻な課題なのでしょうね。

この点についてはアメリカでCI治療がいわれ、日本にそれが導入されて、取り組まれていると話されましたね。日本では平嶋さんがそれに類似したリハビリを受けている状況を見せていただきましたが、つらそうな顔をして手の訓練をしている姿を拝見しまして、CI療法がはたして患者さんによろこんでもらえる療法といえるものかどうか疑問を感じてしまいました。

私は長い間、脳性麻痺や脳卒中後遺症の治療を担当してきた専門医として、リハビリはスポーツに近いもっともっと楽しいものととらえています。平嶋さんのあのつらそうなお顔とそのつらいリハビリを家に帰ってつづけるようにすすめるCI療法に、日本の脳卒中後遺症の患者さんの将来を託す事が出来るのだろうかと心配になりました。リハビリをしてつかれると語られる言葉、悲痛なたましいの叫びと思いましたが、いかがでしょうか。

NHKであかるく脳卒中はよくなるよと語られた番組でしたが、実態はそうではない。一旦発症後、2〜3年を過ぎた麻痺はそんなに簡単にはなおらず、患者さんの一生をむしばみつづけているのです。私の感想としては、藤田太實論説委員を始め、NHKの先生方にはこのすばらしい医療の紹介には敬意を表するものですが、この表向きの一面にとどまらず、身も心も傷つき、闘う力も失いつつあり、現代の医療からも見放され、職場にも復帰出来ず医療難民ともいえる脳卒中後遺症の方々の苦しみをしっかりと見すえ、これに対応出来る医療のあり方も合わせて追求していただけると将来につながるのではないかと思いました。

参考までですが、私達は脳性麻痺の治療に端を発したOSSCS(整形外科選択的痙性コントロール手術−Orthopaedic Selective Spasticity control Surgery)を用い、現代医療から見放された脳卒中後遺症患者さんに、本当の意味の機能改善をもたらし、患者さんにやさしいリハビリと、夢と生きる喜びを興えるべく努力をしています。

今これらの麻痺患者にもう一つ必要なのは、打ちひしがれた患者さんにやさしいリハビリ、そしてそのリハビリを可能にする機能改善医療ではないかと思うのです。その詳細については私のホームページ「脳卒中後遺症を治す−機能改善医療の話」において紹介する事になります。

脳卒中後遺症に苦しまれている方々には、このNHKの紹介になった急性期・回復期の機能改善に合わせて、3年以上も麻痺の続く方々も、身も心も軽くなり、リハビリが楽しくて生きていてよかったと実感するような治療体系を求めて生きられるようお祈りするものです。
               平成20年 2月11日  南多摩整形外科病院 松尾 隆

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